9.科学研究と信頼性
9−1 科学研究一覧
9−2 信頼性の4つの基準
超越瞑想(TM)の効果については過去40年間にわたって世界中の35カ国における200以上の大学や研究所で600件以上の研究が行われてきました。
超越瞑想に間する調査は、科学調査の信頼性を決める以下の基準においても非常に高い評価を得ています。信頼性の基準とは、当事者とは無関係な科学者による再現性、調査方法の質、偶然性の確率、研究雑誌への掲載です。
(1)当事者とは無関係な科学者による再現性
一つの大学や研究所である結論が得られたなら、その結論はかなり信頼性があると言えます。しかし、その結果がその大学や研究所と関係のない別の大学や研究所で再現されたなら、その結果はより大きな信頼性を得ることができます。
科学的な研究結果は、平均的な結果を示しています。人が異なれば、TMの効果も異なってきます。ある特定の効果に関して、よい結果を得る人もいれば、そうでない人もいます。こうした、よい結果と悪い結果を一緒にする──平均化することで、より現実的な結果をイメージするのに役立つでしょう。
超越瞑想に関する研究は、多くの場合、異なる複数の研究をメタ分析することによって、その効果を測ることができます。メタ分析では、各研究の効果の大きさを計算して、それらを合計して平均値を出します。ですから、それは平均値の平均値であり、信頼性がさらに増すことになります。このようなメタ分析は、高血圧、不安、依存症(タバコ、アルコール、ドラッグ)、自己実現などに対するTMの効果について行われています。
(2)偶然性の確率(p値)
偶然性の確率とは、ある結果が調査されている原因によってではなく、偶然によって起こる可能性を統計学的に計算したものです。一般に科学者にとって、偶然性の確率は得られた結果そのものと同じぐらい重要であると考えられています。
ある結果がある原因によって生じたことを示すためには、偶然性の確率が5/100以下でなければならないというのが、科学者たちの共通の理解です。これはふつうp<.05という記号で表されます( p はプロバビリティ──確率を表す)。
これは、その結果が提案された原因によって生じた確率が95%であるということです。P値が小さいほど、信頼性は高くなります。例えば、p<.01は、p<.05よりも信頼できる結果であるといえます。
多くの場合、TMに関する研究のp値は非常に小さく、TMの効果には一貫性があることを示しています。
TMに関する研究のp値には非常に重要な意味があります。なぜなら、多くの場合、TMに関する研究のp値は一般的な基準よりも並外れて小さく(例えば、p<.05という基準に対して、p<.0001)、大勢の人たちの間に一貫した効果が見られるからです。こうした科学的な調査は、TMの効果の信頼性が非常に高いことを示しています。
(3) 研究雑誌への論文の掲載
科学の世界では、研究雑誌が非常に大きな役割を果たしています。それは、質の悪い研究を取り除いて科学を守るフィルターのような役割といえます。科学者は一般に、ある研究が研究雑誌に掲載されたときに初めて、その研究を本気で取り上げます。
研究雑誌に論文が掲載されるときには、事前に、その論文を審査する「査読」が行われます。査読では、同じ領域の専門家たちがその論文を注意深く読んで、それが科学的研究の基準を全て満たしているかどうかを調べます。権威のある研究雑誌であればあるほど、この査読はたいへん厳しいものとなります。
なぜなら、掲載される論文の質によって、その研究雑誌の評判が左右されるからです。論文は非常に高い基準を満たしたときに初めて、その雑誌に掲載されることになります。
これまでに350件以上のTMに関する論文が、世界中の160の研究雑誌に掲載されました。そのなかには、非常に権威ある研究雑誌も含まれています。これは、一つのテクニックについて書かれた論文の数としては、並外れて大きな数字です。
TMに関する600の論文のうち、研究雑誌に掲載されていないものは、「マハリシの超越瞑想とTMシディプログラムに関する論文集」に掲載されています。
(4)質の高い調査
科学的な調査を行う目的は、客観的な結果を得ることにあります。しかし、そこには被験者の期待(プラシーボ効果)や研究者の期待といった主観的な要素が常に存在します。その研究がTMの団体の研究機関で行われるときには(それは全体の研究の10%に過ぎません)、特にそのような可能性があります。
ですから、客観性を保証するためには、これまでに述べた3つの要因(関係のない研究者による効果の再現、低いp値、研究雑誌への掲載)に加えて、調査方法の質が重要になります。
TMに関する研究の多くは、一重盲検無作為化対照実験(RTC)などの質の高い調査方法によって行われています。RCTにおいては、被験者を無作為に実験グループ(TMを行う人たち)と対照グループ(TMを行わない人たち)に振り分けて、両グループにおける効果を比較しますが、比較する研究者自身には誰がどちらのグループに属しているか知らされません。
そうしたTMに関する全ての調査結果を集めて分析してみると(メタ分析)、TMの研究には次のような傾向があることがわかりました。こうした傾向は、TMに関する調査が研究者の先入観やプラシーボ効果に左右されていないことを示しています。
a)TMに関する研究では、質の高い研究ほどよい結果が現れる。一般に、研究者に先入観があると、これとは逆のことが起こる。
b)TMに対して中立的または否定的な態度をもっている研究者の方が、TM運動に関係している研究者よりもよい結果を得ている。
c) TMにあまり期待していなかった被験者のグループと、大いに期待していた被験者のグループを比較しても、どちらも同じような結果が現れる(それはプラシーボがなかったことを示す)。
d)TMテクニックを長く続ければ続けるほど、その効果は大きくなる。
e)TMを規則的に行っている人たちの方が、規則的に行っていない人たちよりも大きな効果を得ている。
・米国国立衛生研究所から助成金を受けて行われた研究
米国の国立衛生研究所は、世界で最も権威ある国立研究所の一つであり、非常に質の高い研究を行うことで知られています。研究者たちが高い水準の研究を行い、また、その研究が人々の健康に恩恵をもたらす可能性が高いことを示せば、国立衛生研究所からの研究助成金を得ることができます。
多くの研究団体が研究助成金を申請していますが、厳しい基準に合格して助成金を得られるのはわずかな団体に限られています。
TMに関する研究は、過去20年間に国立衛生研究所から2,400万ドルの助成金を得てきました。この事実もまたTM研究の質の高さを示しています。過去10年間に国立衛生研究所からの助成金で行われたTMの研究のうちで最も注目に値するものは、心臓病、高血圧、動脈硬化、糖尿病、老化に対するTMの効果を実証した研究です。
TMグループ全体では、心臓発作、脳卒中、死亡の件数が対象グループより43%少なく、さらにTMを規則的に実践しているグループでは61%少ないことがわかりました。
参考文献・circulation 120 : s461(Abstruct),2009
8.単なる技術であり、信仰や生活様式ではない⇐ ⇒10.TMの由来