3.深い休息でストレスを癒す

●蓄積されるストレスと疲労

見る、聞く、行動するといった日常生活の体験の全ては神経系の活動によって生じます。もし、経験が強すぎると神経系の構造に負荷がかかり、それが緊張やストレスとなって蓄積されます。

 

例えば、なにかショッキングなことを体験して心臓が締め付けられるような感じがあったとします。その時、神経系には大きな負担がかかり、それがストレスとなって体の正常な機能が妨げられます。一日を通した様々な経験によって神経系は負荷を受け、次第にストレスが蓄積していきます。

 

●自然な解消法は睡眠

神経系がストレスでいっぱいになると神経系の能力は低下し、もうそれ以上機能できなくなってしまいます。幸いにも体はそれを回復するための自然なプロセスを持っています。そのプロセスは睡眠中に体が休息しているときに起こります。休息をとって体がリラックスすれば、神経系の緊張がゆるんで疲労が解消されます。

 

●ためこんだストレスはどうなるのか

しかし、問題は忙しい毎日を送っていると受け取る経験が多すぎて睡眠中の休息だけでは、すべての疲労やストレスを取り除くことができないということです。そのため、朝起きてもからだのだるさが続き、疲労が慢性化していきます。

 

その結果次第にからだの自然な働きが阻害され、心とからだの様々な問題が生じてきます。これらの問題は最終的には私たちの最も弱いところにでてきます。ある人は心臓に、ある人は心に現れるかもしれません。しかし、その弱い部分が問題なのではなく、緊張や、ストレスを完全に取りきれないということにその根本原因はあります。

 

●超越瞑想(TM)中に起こること

超越瞑想中、心の活動は減少していき、やがて静かで落ち着いた状態へと至ります。それが超越です。心とからだは密接にか関わっているため、心が落ち着くとからだもリラックスして深い休息を体験します。それは睡眠中に得られる休息よりも、もっと深い休息です。その結果としてからだは活力を取り戻し、自分自身を癒し始めます。

 

原因を取り除くことができれば、その結果も消えていきます。からだの自然な機能を阻害している根深いストレスを取り除けば、これらから生じる問題は自動的になくなります。

 

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酸素消費量の変化

 このグラフはハーバード医科大学で行われた研究結果を示しています。

この研究では超越瞑想(TM)中、と睡眠中の酸素消費量を比較して休息の深さを測定しました。その結果TM開始後10分以内に、平均16%と酸素の消費量が大幅に減少しているのがわかります。

 

これは夜の睡眠よりもずっと深く、しかも短い時間で変化しています。それにも関わらず、血液中の酸素と二酸化炭素のバランスは一定に保たれていることが研究から明らかになっています。

 

これはTM中独特の深い休息状態を示しています。無理に呼吸をコントロールして得た結果ではありません。無理のないやり方で体が休まり、細胞が必要とする酸素の消費が少なくなるために起こる、自然な生理的変化です。

 

 この注目すべき調査は、(1)サイエンスと(2)サイエンティフィックアメリカンという二つの権威ある科学雑誌に掲載されました。その後もTMの休息の深さは30件以上に渡る研究によって繰り返し確認されています。

 

参考文献:(1)Science 27 vol.167 no.3926 pp.1751-1754 1970

(2)Scientific American 226 : 84-90 1972

 

●ストレスが減少するとストレスへの抵抗力が増加する

ストレスは悪循環を作ります。ストレスが多いほどさらにストレスを受けやすくなります。ストレスにさらされるとバランスを失ったり、議論やいざこざに巻き込まれたりしてさらに多くのストレスを受けることになります。

 

また、ストレスは創造性を妨げるため、問題の解決策を見つけることも難しくなります。解決できない問題に直面するとそれがまた新たなストレスの原因となってしまうのです。

 

●深い休息が悪循環を断ち切る鍵

超越の体験がもたらす深い休息はこの悪循環を断ち切ります。からだが深い休息をとることで神経系はストレスから解放され、からだは再び正常に機能し始めます。その結果バランスを失うことなく、自分自身を維持できるようになるのです。

 

もし、私たちがいつも休息のとれた状態であれば、物事に柔軟に対処することができ、新たなストレスも生じなくなります。

 

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 からだに深い休息

メタ解析*によると、目を閉じて休息したときと比較して、TMでは基礎皮膚抵抗が著しく増大し、深いリラクセーションを示すことがわかりました。(* 多くの研究から最終的な結論を引き出す際に推奨される科学的手順)

 

通常の休息時よりも呼吸数と血漿乳酸値が著しく減少したことからも、休息とリラクセーションの深さが証明されています。これらの生理学的な変化は、心が安らぎに満ちた機敏さの状態である超越意識に無理なく達する際に、自動的に発生します。 

 

参考文献:1. American Psychologist 42 (1987): 879-881.  

  

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ストレスからの早期回復

この研究では、ストレス性の刺激に慣れるまでの時間を調べています。その結果、TM実践者は、TMをしていない対照群のグループと比べて、よりいっそう速くストレスから回復することがわかりました。

 

つまり超越の体験は、ストレスに対する抵抗力を高めることを示しています。より速いストレスからの回復は、健康のすべての領域に大きな恩恵をもたらします。

 

参考文献:Psychosomatic Medicine 35: 341-349, 1973

 

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